- 公開日:2015年07月31日
はじめに
2016年度から日本でも解雇の金銭解決が施行されようとしています。
今でも早期退職制度があるので、何を今更という感を受けなくもありませんが、ますます雇用の二極化が進んでいくのは間違いないでしょう。
金銭解決とはいえ、会社を解雇された労働者は会社を恨むのでしょうか。
それとも、法と政治家達を責めるのでしょうか。
もしくは両方でしょうか。
しかし、どんな大企業でも、赤字の労働者をずっと雇い続けることはできません。それが、体力のない中小企業ならなおさらのことです。
企業には様々な人が集まっています。そして、各々が生活を背負っています。
赤字社員に辞めてもらうことで、会社が存在できるなら、残りの労働者の生活が守られるなら、金銭解決という判断はやむを得ないのではないでしょうか。
これは、緊急避難の考え方に近いかもしれません。
世界中がネットワークにつながることで、我々の生活は劇的に便利になりました。
と同時に、世界中で激しい競争をせざるをえなくなりました。
激しい競争と急激な社会の変化により終身雇用を維持できなくなったのはアメリカも同じです。日本は、アメリカと同様の道を進んでいるので、今後終身雇用が維持できなくなるのは目に見えています。むしろ、ここまでよく頑張ってきたと思います。
会社と労働者の新しい関係『アライアンス』
この本では、労働者と会社の新しい関係を提示しています。
その新しい関係とは、
- 会社を辞めても、個人と会社がつながり続ける
- 会社は労働者が会社が辞めても成長できるような労働条件を提示し、労働者は会社が持続的に成長できるように労働力をコミットする
というものです。
本書ではこの関係をアライアンスと呼んでいます。
このアライアンスの関係が、今後の時代の労働者と会社の関係だと述べています。
アライアンスの例
このアライアンスの仕組みがうまく回っているのが
アメリカのシリコンバレー
です。
本書ではpaypalマフィアの一人「リード・ホフマン」が創業したLinkedInを例に取り、具体的な内容を説明しています。
今、企業が喉から手が出るほど欲しい人材は「企業家」タイプ。
この「企業家」タイプは、能力が高く、変化に対応し、様々なことに果敢に挑戦していく人材です。
日本の女性が望む『イクメン』は、残念ながら歓迎されない世の中になっていきそうです。
アライアンスという概念に思うこと
個人的に『アライアンス』という概念には賛成です。
労働者と会社は、家族関係よりも提携関係であるほうが健全だと思います。
サービス残業、飲みニケーション等の文化も廃止しましょう。不要です。両者にとって大切なのは、
期間を決めてお互いの成長にコミットすることです。労働者と会社の関係は、それが一番のあるべき姿だと思います。
また、本書では、
アライアンスの関係でめざすべきは、会社と個人の目標をあらゆる面で完璧に一致させることではない。
ある期間、一定条件のもとで整合性をそろえることである。
とも述べています。
まとめ
「時代は変わった。これからの時代には新しい働き方が求められている。」
企業のトップや評論家からよく聞かれる言葉です。
しかし本書では、結局新しい時代に求められるのは、
「企業は労働者を尊重して労働者を成長させる場を提供する。労働者は企業が成長できるようにコミットする」
ことであると述べています。
経団連や新経団連は、「労働者が、企業が成長できるようにコミットする」だけでなく、「労働者を尊重し、労働者を成長させる場を提供する」部分にもっと力を注がないといけません。都合のいい部分だけをグローバルスタンダードとして労働者だけに押し付けるのは言語道断です。また、労働者もきっちりとグローバルスタンダードを受け入れる必要があります。
テクノロジーの発展により、当り前のことが当たり前に求められるようになっていきそうなのは皮肉な話です。
インターネットは知の高速道路を作っただけでなく、人のモラルや道徳心の高速道路も作り上げていくのかもしれません。
技術だけでなく、会社と労働者の関係も発展していかないと、ますます日本はグローバルな競争に太刀打ちできなくなってしまうでしょう。
深い信頼関係を気づいてこそ、人は頑張れるし、高い成果を出すことが可能になるのだと思います。
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