- 公開日:2016年02月26日
記事概要
コラム記事
2016年に入ってから株式市場が暴落しています。
去年21,000円近くまで上昇した日経平均は16,000円を切りました。僕の保持している長期投資信託も、一時より結構目減りしています。
さて、今の投資の世界はアルゴリズムを利用してトレーディングが行われていることは多くの人の知るところだと思います。
このことは、アメリカでも問題として取り上げられています。
アルゴリズムを利用したトレードが世界中の市場で混乱が起きている原因だと指摘する批判は多いです。しかし、アルゴリズムで売り買いをコントロールするのはそんなに悪いことなのでしょうか。
アルゴリズムで動く世の中
現在の世の中にアルゴリズムは欠かせません。人々が普段の生活で日常的に利用しているサービスにもアルゴリズムは多く利用されています。
例えばみなさんが普段利用しているamazonや楽天です。物を買うときにログインすると、URLにhttpsという文字が付加されているのが確認できると思います。
これはhttpsプロトコルと呼ばれる技術で、HTTP通信において認証や暗号化を行うために利用されています。
httpsで利用されている詳細なアルゴリズムの説明を省きますが、この技術により私たちはインターネット上で安全に取引を行うことができます。
中には、インターネットを利用していない人もいるかもしれません。でも、銀行のATMは利用していると思います。このATMを使った銀行間の取引には、全銀プロトコルと呼ばれる取り決めが利用されています。
私達がATMを介して銀行間で取引できるのは、このプロトコルで利用されているアルゴリズムのおかげです。
銀行は、長期の祝日等に、システムのメンテナンスをするためにATMを停止するケースがあります。この時は、事前の告知にも関わらず、多くの人から苦情の電話があるそうです。
このように、私たちは便利な生活をアルゴリズムから享受しているのです。
トレードのオートメーション化
株式の世界では、トレードに勝つための技術やテクニックが存在します。
本屋にいくと、多くのテクニカル手法を説明した本が並んでいます。これらは投資家達の経験を体系化した技術です。
一般的に、市場はランダムウォーク(規則性のない動き)であると言われています。しかし一方で、市場で良いパフォーマンスをあげ続け、巨万の富を得ている人も、ごく少数ですが存在するのです。
彼らは、移動平均平均乖離率を利用した逆張りトレード等の手法を利用して株価を推測し、日々市場で取引しています。
今後は、こういった昔ながらの手法で市場に残る人はぐんと減少するでしょう。代わりに、個人でも機械学習とビックデータを用いて株価を推測するのが主流になるのではないでしょうか。
なぜなら、時代が進むにつれ、既存のテクニカル手法より、アルゴリズムや機械学習を利用したほうが予測精度が高くなることは間違いないからです。
また、このことから、アルゴリズムや機械学習の導入により、市場がランダムウォークから規則性を持つ動きになる可能性もあります。
今後はアルゴリズムや機械学習の動きを予測したアルゴリズムや機械学習のトレードも広がるはずです。
まとめ
株価は企業の状態となるべく一致するのが望ましいのは言うまでもないでしょう。投資家は企業から発表された情報で、企業に投資します。
そして、企業は市場から得た資金を元手にして、より高い利益をあげていきます。そして、稼いだ利益を投資家達に配分します。
一方で、トレードで利用されるアルゴリズムは、市場のゆがみや株価の動きから値動きを判断して売買を決めているアルゴリズムが多いようです。否定されるのは当然でしょう。
しかし、予測アルゴリズムを用いても、あくまで予測は予測でしかありません。どんなアルゴリズムを使い、どんなアルゴリズムで機械学習をさせるかは、開発者や使い手次第です。どんなにオートメーション化が進んでも、プログラムの実装方法の最終判断を下すのは人間しかいません。それは人工知能になっても同じことです。
結局のところ、技術というのは使い手次第です。アルゴリズムを用いたから利益があがるのではなく、優れたアルゴリズムを考案することで利益があがるのです。技術はブースター(増幅器)のようなものです。
アルゴリズムを作り上げたのが人間の思考なら、それは市場の動きとして認めて良いのではないでしょうか。
そう自分に言い聞かせて、この荒れた市場の動きを見守りたいと思います。
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