はじめに
『英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる』という本が話題になっていたので読みました。
この本は、日本で広まってきている英語公用化に警鐘を鳴らした本です。
筆者は日本に英語公用化は必要ないという意見を、説得ある材料を集めて説明していて、非常に納得のできる内容でした。
現在の英語重視の国や企業の方針に疑問を抱いている方は、手にとって読んでみてください。
しかし、この本に記述されている内容は確かに正論なのですが、実際にはグローバル化は止まらないし止められません。
豊かになろうと努力する人々や国々を止めることはできないし、インターネットの発達によって英語力の有無で教育の質まで変化してしまうのが厳しいけれど現実の姿です。そして、これからますます顕在化してくるのも確実です。MOOCs等が一向に定着しないのも、英語力の低さが一因にあると思います。
では、ここまで国が躍起になって英語力の向上を図っているのに、日本人の英語力が一向に伸びない理由はどうしてなのでしょうか。
いい機会なので、少し考えてみたいと思います。
英語学習者の分類
これまで英語を学習してきて、周りで英語の学習をしている人を見ると、以下のようにざっくりと分類できます。
- 英語を話せるとかっこいいから
- 英語(語学)が好きだから
- 仕事で必要だから
- これからの時代に英語は必須だから
個人的な感覚として、八割くらいの人が
- 英語を話せるとかっこいいから
- これからの時代に英語は必須だから
という理由で英語を勉強しているように思います。
こんな理由で英語の学習を続けられる人は、ごく一部の変わり者だと思います。
つまり
日本人にとって英語は必要ない
から日本人の英語力は伸びないのです。
実際に使う機会がなければ、英語の学習なんて苦行を進んでするわけありませんよね。
英語学習はコストが高すぎる
正直、私も英語はあまり好きではありません。
もちろん、私は仕事柄、英語の情報に触れずに仕事をしろといわれても絶対に無理なので、日々英語の学習はするようにしています。
しかし、それでも思うのは、
日本人にとって英語学習はコストが高すぎる
ということです。
学習すればするほど、より強く思います。
言語としての構成があまりに違いすぎます。
日本人の英語力は低すぎると世界中から指摘されていますが、どれだけ責められても罵られても
今後も普通の日本人の英語力は伸びない
と思います。
英語力が伸びるのは、
- 英語(学習)が好きな人
- 仕事で必要。かつ、英語の学習コストを払ってでもその仕事をしたい(する)人
に限られてくるでしょう。
それが自然だし、当たり前です。
英語力の格差は開く
本書でも記述されているように、近年、国をあげての英語力向上の取り組みが目立ちます。
しかし、それでも大多数の日本人の英語力は伸びないと思います。
むしろ低下するとさえ思います。
というのは、日本人にとって英語はますます必要ないツールになると思うからです。
なぜなら、今後の日本では、社会の階層化が進むと予想されます。
そうすると、英語が不要な人はずっと英語が不要な環境で生活し、英語が必要な人はずっと英語が必要な環境で生活していくことになります。
自分にとって必要ないものに時間を費やすほど、今の世の中は暇ではありません。
ほとんどの人は、英語が不要な環境で生活するはずなので、英語力は平均すると落ちるでしょう。
本書で筆者は「言語はツールではない」といっていますが、ほとんどの人にとって言語はツールです。
それが事実です。
日本語であれ、英語であれ、なにかしらのメリットがあるから言語を身に付けるのです。
日本を愛しているから日本語を身につけたのではありません。日本を愛していても、中国で生まれたら中国語が身につくのが当たり前です。
まとめ
日本人に英語は必要ないのに、英語化するという国策は愚策の極みです。
とはいえ日本だけグローバル化に抵抗しても無駄です。世界の本流なので、乗っかっていくしか道はありません。
なので、我々にできることは、しっかりと日本語を守りつつ、そして英語も学習するということです。
確かに英語学習のコストは高いです。しかし、英語化やグローバル化は嫌だけど、日本は豊かなままでありたいという我侭は通用しません。
我々一人ひとりが高い英語力をもち、日本語の中にそのノウハウを共有することが、日本がグローバル化に対応する道なのだと思います。
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