2009年1月20日火曜日

罪と罰1

著:ドストエフスキー
訳:亀山郁夫

光文社古典文庫

光文社古典文庫から発売された、新訳の罪と罰の第1巻を読み終えました。
個人的にはドストエフスキーの最高傑作だと思っています。
以前に新潮社版も読んでいるのですが、亀山さんの新訳が発売されているのを本屋で発見し、即購入しました。
 前に出版されたカラマーゾフの兄弟よりもはるかに読み易くなっていて、より現代小説らしくなっていると思います。これは亀山さんがカラマーゾフの兄弟を翻訳したことで小説の技量があがって、慣れたためでしょう。まるで現代推理小説を読んでいるがのごとく、すらすらと読めます。
 あまりにも読み易すぎて賛否両論がありそうですが、個人的には評価します。
難解で重厚な内容だからこそ読む価値があるのだという考えは、私の価値観とは相容れないからです。
私の場合は、内容が面白ければいいのです。そして読みやすければさらに良い。私は、小説はエンターテイメントだと捉えています。
 (以下多少ネタバレありなので注意)
 この1巻では、全6部のうちの1部と2部が記述されています。
老婆殺害から、離れて暮らしていた家族に再開するまでの内容です。
殺人によってラスコーリニコフは苦悩に苛まれ、異常な行動を取ります。
この作品が時間を忘れて熱中してしまうほど面白い理由が、このラスコーリニコフの異常な行動と心理描写にあります。周囲に対して狂気の行動を取るラスコーリニコフは、読み手になんともいえない気持ちを抱かせてくれます。人間の究極の心理状態を疑似体験しているような感覚に近いかもしれません。
この巻の最後のほうでマルメラードフにとる行動などは、呆気にとられてしまいます。
 あまりネタバレをするのは避けますが、未読の人には是非読んでもらいたいです。
この新訳は本当に読み易くなっていて、東野圭吾さんや宮部みゆきさんの本を読んでいるような錯覚すら抱きます(さすがに言い過ぎかな・・・・・・)。
 ただし、まだ全巻刊行されていないので、続きが読みたくても読めないのが残念な点です。
これから読む人は、全巻刊行されてかてから読み始めるほうがいいかもしれません。
早く第2巻が読みたいです。

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